001 はじめに

はじめまして!arecsの山中です。

とはいっても、誰にも伝わらないですよね、きっと。サウンドエンジニアをしています。音楽の専門学校を卒業して、レコーディングスタジオに入社。10年ほど勤務してからフリーとなり、レコーディング6割・ライブ4割くらいで活動してきました。

そして最近、独立系音楽プロデューサーの盟友とタッグを組み、レコーディングに特化した、arecsというブランドを立ち上げ、新宿でデスクトップレコーディングのレンタルスペースを開いています。

いまさらいうまでもないですが、レコーディングの世界は、15年ほどで激変しました。かつては、商業レベルの音源をつくるには、数百万円の機材をいくつも揃えて、数千万円かけて防音工事を施したスタジオを、何十万円も払って使っていたわけです。ほかに選択肢はありませんでした。

それがいまでは、すっかり様変わりしています。最初はダンスミュージック、次にポップス、そしてロックでさえも。ほとんどの作業がPCと周辺機器で完結します。今やレコーディングは、それほど敷居の高い作業ではなくなってきました。音源をつくるということは、もうかなり身近になっているといえるのではないでしょうか。

とはいえ、誰もがカンタンに音源をつくれる、というほど敷居が低いわけでもないように思います。機材は気軽に揃えられますが、それらの使い方は、なかなか体系に沿って学ぶ機会がないのではないでしょうか。

たとえば、どんなDAWでも、イコライザーやコンプレッサーといったプラグインは必ず付属しているはずです。けれど、それを有効に使いこなすのは、本当に難しいこと。単にボーカルだけでもたいへんですが、ドラムやベース、ギターなどが入り乱れるバンドサウンドなら、その難しさは級数的に増大してしまいます。

この連載では、プロとして活動している私たちの、レコーディングやミックスといった作業の現場を、できるだけ包み隠さずお話ししていきたいと思っています。そして、レコーディングやミックスに興味を持ってくださる方が少しでも増えて、そういった方たちの音源がさらに美しくなれば、これ以上の喜びはありません。

私は文章のプロではありませんが、精一杯務めさせていただきます。